ヴォイストレーナーの小関です。
先週の練習はお疲れ様でした。今後しばらくの間、私が要所を復習できるよう書き込みます。でも、本当は各パートリーダーがパート別にその日のポイントをアップしていただけるとうれしいです。こちらが発した言葉が一方通行ではなく、どのように伝わっているかがわかり次に生かせますし、お互いに緊張感をもって練習に臨めますので、ぜひ、今後の検討課題としてお考えください。
音楽に入る前に、前々回みなさんにお見せした1枚の画について、所在を知りたいという声がありましたのでお答えします。
18世紀イタリア画家、ティエポロ(G.B.Tiepolo) 作『十字架の道行き』。ヴェネチアのサンタルヴィーゼ教会(Sant'Alvise)のために描かれた作品です。縦4.5メートル、横5.17メートルの作品で、祭壇の右側に掛けられています。
さて、今回はCredo後半部分、“Et resurexit,〜” イエスの復活の部分からです。何度も繰り返しになりますが、Credoはとくに『ことば』が重要な要素になりますので、常に発音に気を配りましょう。
各パートの音取りに先立って、ソプラノソロから合唱ソプラノが引き継ぐ部分を確認しました。下3パートは4分音符でいっしょに入りますが、ソプラノだけソロを受けて8分音符分あとに入ります。譜面上は分かれていますが、演奏上はソロの子音(xitのt)がソプラノに重なります。ソロを聴いて出ようとせずに心の中でカウントして遅れることのないよう気を付けましょう。-re-sur の拍以降は全パートが縦で揃っています。ソプラノが遅れると、切れの悪いモヤッとした演奏になるのでご注意を。
「天に昇る」部分 “Et ascendit” (137小節〜)は特徴的な8分音符+付点2分音符(よく見てください。2分音符とタイで4分音符が繋がっています)の上行形がアルトから始まってソプラノとバスに波及していきます。一方、テノールは2拍目の音だけを見ると(138小節、139小節)上行していますが、そのあとミ・ド・ラ、ファ#・レ・シと下降していることに気づきます。イエスが天に昇り、神と並ぶ(右に座す)が、けっして上に「去ってしまった」のではなく、常に人と繋がり続けている、そんな表現をモーツァルトがしたのかもしれません(かってな想像に過ぎませんが)。
ここで大切なことは、作曲家が何か意図をもって変化を付けているということです。演奏者は常に作曲家の思いを読み取るために注意深く楽譜を見る必要があります。こうした表現を見つけることもその一つの方法でしょう。
ここは、上行する3パートと下降するテノールのニュアンスを変えることで、表現したいですね。上行パートはリズムが崩れないよう気を付けて。140小節の“ascendit”に向かって自然にクレシェンドできるはずです。一方のテノールは、1音1音を明瞭に、ただし鋭く切るのではなく、少しだけマルカート気味に歌います。1回目、2回目とクレシェンドすることも忘れずに。
次に147小節のアルトですが、2分の2拍子、2拍目のウラが8分音符でファ・ソと動きます。拍のウラでこのように動く場合、軽くなって滑ってしまいがちですので気を付けて。
150小節 judicare はソプラノからアルト、テノール、バスと4分休符のあとに出ますが、各パート遅れないようにするためにはブレスのタイミングが大事です。直前の4分休符でブレスしていては間に合いません。その小節に入る前でブレスして止めて用意しましょう。このように同じメロディーが順番に出る場合、後のパートは先のパートのニュアンスを引き継ぎます。この場合、ソプラノがニュアンスを決めることになります。ほか3パートは、ソプラノの表現に倣いましょう。154小節、フェルマータとAdagio、テンポが変わります。
47頁157小節から。ここは4小節ワンフレーズを意識しましょう。159小節に休符がありますが、フレーズは途絶えません。この休符は次のnonを歌う準備のつもりで、くれぐれも音楽が途絶えないように。
165、166小節の non は2分音符ですが、2分の2拍子、1拍分ということを忘れないように。ノーンではなく、ノ ォ ンです。続く169小節、non が3回歌いますが、このように繰り返す場合はクレシェンドでしたね。
テノールソロに続いて、Allegro 、“Et unam sanctam catholicam〜”。ここで注目したいのは、音楽の作り方が先に歌った “Et resurexit,〜” に似ていることです。in remisionem のソプラノから入ってくる部分と judicare の部分、resurectionem の8分音符+付点2分音符で各パートが重なり合う部分と Et ascendit の部分です。見比べてみると出てくる順番が逆になっていませんか。
in remisionem〜 は「罪の許し」と judicare は「裁き」、resurectionem は「復活」とEt ascendit〜 は「天に昇る」。言葉の持つ意味の対比と音楽の対応がシンメトリーに置かれています。とても興味深い表現方法です。
in remisionem は言葉のアクセントを意識して。resurectionem のテノールは、全く同じではありませんが先ほどと骨組みはいっしょで、3パートと異なる動きをしています。ソプラノ、アルト、ベースの8分音符の動き、そして255小節に向かってクレシェンドは先ほどと同じような注意が必要です。257小節からAdagioのテンポ変化にも気を付けて。
Credoの最後、Et vitam venturi saecul〜 は、大きく2つの旋律で出来ています。Et vitam〜とamenです。こういう場合は、それぞれに役割に応じた歌い方が求められます。主張すべきところ、バックに回るところ、合わせて歌うところなどです。次回の練習で確認していきましょう。
今回演奏する孤児院ミサでは、とくに“ハモる”ことに気を配って、アンサンブルの喜びを実感したいと考えています。互いに聴き合う、ブレスを揃える(気持ちを揃える、気を合わせる)など、「もちろんやっている」ことかもしれませんが、もう一度意識してみてください。